RSD(反射性交感神経性ジストロフィ)

By | 2015年7月27日

いち早く症状に気づけるようにしよう

 

「The Reflex Sympathetic Dystrophy」を短縮して、RSD。この症状のことを耳にしたことはありますか?

 

医療従事者や、身近にRSDで悩んでいる方がいない限り、多くの人にとって生まれて初めて目にすることばでしょう。

 

交通事故では、骨折、擦過傷、打撲といったごく単純な負傷から、目には見えない身体の内部の異常まで、さまざまなけが、後遺障害が発生してしまいます。

事故の被害に遭った人全員が軽症で済めば話は簡単なのですが、運悪く重度の後遺障害に苦しむ人がいるのも確かな事実です。

 

交通事故は、誰にでも起こりうるものです。気になる症状があったとき、知識がなければ右往左往するか我慢するかしかありませんが、少しでも「もしかしたら」と考えられる知識があれば、早くから適切な対処と治療を受けることができます。

 

今回は、その「もしかしたら」を増やすために、RSD、反射性交感神経性ジストロフィについて説明を行います。

 

RSDとは

 

RSDは、神経因性疼痛の一つ、身体のなかにある神経に残ってしまう障害です。

 

例えば右肩を強く打った場合、打ち付けた場所そのものが一番痛いですよね。

とはいえ痛みはピンポイントで感じるものではなく、打った場所の周辺を触ったりしても軽い痛みを感じるはずです。

 

打撲箇所が治っていくにつれて、周辺を触っても痛くはなくなってきます。最終的に打撲したところも完治し、痛みが消えるわけです。

痛みを感じる範囲を円だとすると、けがをすることで痛みは大きな円形に広がり、治るにつれて小さな円へと収縮していくのです。

 

しかし、けがをしたさい神経が大きな痛み、ショックによって神経がびっくりしてしまうなどして、異常が起きた場合、「痛みを感じる円の範囲が広がったまま、一向に小さくならない」状態になってしまいます。

 

けがをした右肩が痛い、という状態から、右腕全体が痛い、胸や腹も痛い、全身が痛い、少しでも動かすと痛くてたまらない、とどんどん痛みの範囲が広がってしまうわけです。

 

痛みは、身体のどこかが故障していること、もしくは故障しそうなことを自覚するための信号です。

けがの影響によって神経が過敏になりすぎてしまい、ほんの少しの刺激に対しても「痛い!」という過剰な反応を返してしまうようになるのが、RSDなのです。

 

RSDの怖いところは、けがそのものは完治しても痛みを感じる神経の過敏さがおさまらない点にあります。

 

人は痛みを感じると、反射的に身体に力を入れます。

家のなかで思いっきり足の小指をぶつけたら、反射的に体に力をいれてしまうか、うずくまって痛みをこらえようとするでしょう。少なくとも、体の力を抜いて、リラックスすることはありません。

 

痛みによって関節を固め、筋肉が萎縮してしまうという反応が続いてしまうので、RSDになった場合、徐々に関節が動かしづらくなったり、過敏過ぎる反応を神経が返してしまうのでその他の感覚を通常通り処理することができず、過剰に汗をかいたり、体毛が抜けてしまったり、骨そのものが萎縮してしまったりと、とにかく非常に大変な状態になってしまうのです。

 

骨折からでも起こりうる後遺障害

 

RSDは、交通事故によっても起こりえる後遺障害です。

ものすごく大きな事故によって、九死に一生を得た、という場合になってしまうものではなく、事故に遭った本人としてはただの骨折や打撲だと思っていたら、実はRSDも併発していた、なんてことがあるのです。

 

ことによると、捻挫からでも発生します。

誰がなってもおかしくない症状でありながら、余り認知度の高くない症状でもあります。一旦発症してしまうと本人はひどく苦しむことになりますし、進行していくと体を動かすことそのものが難しくなってきてしまうのです。

 

それだけに、病気と同じように早期発見と早期からの治療、リハビリが大切になってくるのですが、なかなかどうして診断が難しいという問題があります。

 

RSDの診断が難しい理由

 

RSDには、症状そのものとは別にいくつかの問題点があります。

適切な診断、診察を受けられない場合があること、交通事故のあとすぐに気がつくとは限らないこと、治療法が完全には確立されていないことなどです。

 

ここでは、RSDの診断が難しい理由をいくつか補足していきます。

 

・発症までにタイムラグがある

 

RSDは、あなたが交通事故でけがを負ったことが原因で起きる症状です。

しかし、事故直後すぐに「RSDだ!」と自己判断ができる、医師が診断できる、というものではありません。

 

痛みが広がっていくRSDは、ある程度けがが治り出してから、それでもなお痛みがおさまらないことで初めておかしいと気がつくことが多いのです。

 

事故の直後というのは、ショックも受けていてけがの痛みを認識できなかったり、もしくはけがをした箇所の痛みにまぎれてしまって、RSDのことに気がつきづらくなっています。その結果、事故から1週間、2週間、3週間経ってからようやく体の調子がおかしいことに気がつくわけです。

 

・初期段階では誤診が多い

 

RSDはその性質上、痛みや筋肉の萎縮、皮膚の変化や腫れなどで症状や進行具合を判断することになります。

医学的にはちょっとした骨折からでも起こりうるとはいえ、通常けがの診察を受けるときは事故のすぐ後ですから、初期段階でRSDの診断を下すことが難しいのです。

 

けががほとんど治ってきている状態になって初めてRSDの疑いが持たれる場合が多いので、違和感を覚えた本人がすぐに医師に伝えるか、医師が適宜しっかりとした検査をしなければ判明しづらいのも問題点の一つです。

 

もし損害賠償を行い、示談書にサインしたあとでRSDだと分かってしまっても、新たに補償を求めることはできません。

 

・確実かつ劇的に効果のある治療法がない

 

RSDの確実な治療法というのはまだできあがっていません。それだけ神経関連の障害というのは微妙なものなのです。

 

治療方法としては、神経ブロック注射を行うことで過剰な反応をさせないようにしたり、各種の投薬を行って症状の改善を図ったり、萎縮した筋肉をほぐすために関節を動かしてリハビリをしたりします。

 

冷たい水と温かいお湯を交互にあてることで血管の収縮を抑え、血流を良くする、といった方法も取られます。

 

後遺障害認定は申請できるのか

 

RSDとして後遺障害認定を受けることは可能です。

ただし、きちんとした病院で専門的な診断を行い、客観的に関節の固着などが起きていることを確認できなければなりません。

 

RSDは見た目で分かるような症状でもないので理解されづらく、治療とリハビリには長い時間が必要となってしまいます。

 

早期発見が難しいですが、少しでも痛みがおさまらないようであれば、RSDを疑っておいたほうが良いでしょう。

「もしかしたら」と考えて、体をいたわりましょう。