症状固定

By | 2015年7月27日

病院に行ってけがを治す

 

交通事故に遭った、けがをした、放っておくとけがは完治した、なんてことはありませんよね。ほんのちょっとしたけがであれば病院に行かないという人もいますが、自分では対応できないけがをした場合、まず真っ先に病院に行くのが道理というものです。

 

骨折やひび、すり傷、切り傷、打撲。原因不明の痛みなど、とにかくなんらかの不調を感じる場合、必ず病院に行って医師の診察を受け、治療を受けるようにしてください。

 

もし交通事故の後痛みを感じなかった、平気で過ごせているという場合も病院に行くのがベストな選択です。

交通事故によって大きなショックを受けており、一時的に痛覚が麻痺してしまっている。または、交通事故の直後はそれほどではなかったものの、放置しておくことで状態が悪化し、痛みが発生するけがもあるからです。

 

特に、むち打ちはレントゲンなどを撮っても明確にどこが原因とわかるものではなく、基本的に自己申告でしかその存在を証明することができないけがなので、我慢できるとしても素直に病院に行きましょう。

 

今回は、交通事故直後のあれこれをやり終わり、病院に行ってから症状固定するまでの間にすべきこと、覚えておいたほうが良い対処法を紹介していきます。

 

健康保険が使えないといわれた場合

 

けがや病気の治療を受けようと思ってあなたが普段病院に行くとき、なにを持っていきますか? ほとんどの人は自分が加入している健康保険の保険証と財布を持っていきますよね。

 

しかし、病院の受付で「交通事故に遭ってけがをしちゃって・・・」といったとき、病院側から「交通事故の治療だと保険が使えないんですよ」なんていわれてしまう場合があります。

 

本当に交通事故の治療には保険を利用することができず、自由診療で10割負担をしなければならないのでしょうか?

 

答えは否です。

いかなる理由であっても、交通事故が原因の治療であっても、健康保険を使って治療を受けることができるようになっています。

 

ただ、治療をする病院側としては、自由診療にしてもらったほうが厳格な治療のルールや料金にとらわれず、保険を使ったときより高額な治療費を請求できるので、このようなことをいわれてしまうわけです。

 

もしここでいわれるがままに自由診療に切り替えてしまった場合、「どうせ後で相手や保険会社にかかった実費を請求するんだから」と思っても損をする可能性が高いので注意しましょう。

 

「第三者行為による傷病届等」という書類の提出が必要ですが、実際は保険を使って治療したほうがあなた自身の負担も少ないですし、きちんとした治療が受けられます。

 

もし、かたくなに保険診療を拒否された場合、別の病院に移りましょう。

 

症状固定とは?

 

まず、「症状固定」について説明をしてみましょう。

 

けがの治療を段階で分けると、

 

治療の開始

治療中

治療の完了

治療後

 

というふうになりますよね。

治療の開始時点というのは、あなたが病院に行き、初めて医師の診察を受けたそのときです。診察を受け、どういった症状があってどのような治療が必要なのかは全て医師が決定します。

 

通院で良いのか、入院すべきなのか、固定具などは必要なのかといった方針を固めて、治療開始するわけです。

 

治療期間中は、通院、ないし入院によって内服薬や注射、貼り薬などを利用してけがの治療に専念します。医師が必要性を認める場合は、鍼灸なども損害賠償請求の費目である治療費に含めることが可能です。

 

ここまでは誰も不思議に思うところはないと思います。問題なのは、ここからです。

治療が完了する、というとどんなイメージがあるでしょうか?

 

けがが完治して元通り生活できるようになる。こういったものではないでしょうか。

確かに、けがが完治し、治療を受ける前、交通事故に遭うまえの状態に完全に戻ればいうことはありません。確実に治療の完了といって良いでしょう。

 

しかし、けがの度合いやけがをした場所などによっては、「これ以上治療をしても状態が良くならない」ことを治療の完了と呼ぶのです。

この状態のことを「症状固定」といいます。

 

例えば、交通事故の影響で右足の膝から下を切断することになったとします。手術を受け、その傷跡や失った体力がある程度戻るのを待ち、リハビリ等を行って身体能力を取り戻す。幻肢痛などを除けば他になにも問題はない。

 

この時点で症状固定となります。実際には症状固定をしていても右足に欠損があるのは確かな事実ですよね。しかし、それ以上に治療をしても効果がないなら、症状固定として以後は右足の欠損と付き合っていくしかありません。

 

いわゆる治療費を相手に請求できるのは、症状固定をするまでです。入通院が長引けば長引くほど治療関係の費目として請求できる金額も増えていきますので、どのタイミングで症状固定をするかは非常に重要な問題となるのです。

 

保険会社から治療の打ち切り、症状固定を要求された!

 

症状固定で問題となるシチュエーションは、保険会社から症状固定といわれた、これ以上の治療にはうちは治療費を払えませんから自己負担でやってくださいね、といわれてしまうことです。

 

いわれるがままについつい治療を打ち切ってしまうことも考えられますが、実際にけがの治療が終わっていない、痛みがある、という場合取り合う必要はありません。

 

症状固定の診断を下すことができるのは、保険会社ではなくあなたの担当医師だけだからです。

これ以上は治療するところがない、と医師から伝えられ、症状固定の証明をしてもらうことで初めて治療の完了となります。

 

保険を使わない自由診療で病院が儲かってしまうように、早めに症状固定をして治療を打ち切ってしまったほうが保険会社としては得だからこそこういった発言をしてくるわけです。

 

ただ、意味もなく症状固定を引き伸ばすのはやめておきましょう。

通院日数や治療期間が伸びれば、その分請求する治療費の金額は増えます。なので、少しでも多くの損害賠償を引っ張ろうとして意味もなく毎日病院に通う、なんて人もいますが、結局は合理的な判断やけがの治療に必要な分の金額しか請求できないので、ごねても意味はないのです。

 

むしろ、不当に症状固定を引き伸ばすことは相手側からの心象を悪くするというデメリットもあります。医師と相談したうえで症状固定をするかどうか決めましょう。

 

どのみちあなたのけがの治療や体の状態を正確に把握しているのは、医師だけなのです。

 

症状固定の診断をしてもらおう

 

症状固定で良い、ということになったら医師から症状固定の診断をしてもらいます。

手続きとして難しいことはありません。病院に行き、あなたの担当医師と相談をして決めるだけ。医師が症状固定の証明を行ってくれます。

 

けがの治療中はあれこれと交渉について考える必要はありません。病は気からという言葉もあります。治療はしっかり気楽に受けて、健康を取り戻しましょう。

 

 

説明文:後遺障害診断の認定の際、気をつけておきたいポイントを説明します。

 

タイトル:後遺障害診断の認定

 

後遺障害診断書を書いてもらおう!

 

医師からの診断で症状固定と判断され、なお後遺症とみなせるものがあなたの体に残っている場合、今度は「後遺障害診断書」を書いてもらうことになります。

 

損害賠償請求では、治療費に加えて交通事故によって得ることになったら諸所の後遺障害に対しても、請求ができるようになっているのです。

 

後遺障害の等級は第1級から第14級まであり、その中で複雑にどの級のどの号かを割り振られることになります。後遺障害が第1級に近ければ近いほど状態が深刻であるということなので、級によってどの程度の金額を請求できるかは大きく変わってしまうのが特徴です。

 

そんな後遺障害の等級を付けてもらうために一番重要なのが、医師の診断書なのです。

医療機関がしたためた後遺障害診断書には、あなたの体の状態や、どの程度の後遺障害が認められるのか、といったことが事細かに記載されることになります。

 

仮に後遺障害診断書を書いてもらわずに後遺障害の等級を出してくれと請求をしたところで、あなたの後遺障害の事実と程度を客観的に証明する手段がないので、認定されることはありません。

 

非常に重要な書類なので、後遺障害が残ると判断できる場合は必ず書いてもらうようにしましょう。なお、後遺障害診断書を書いてもらうためには、通常の診断書と同様に料金がかかります。病院によって違いはありますが、高くても1万円ほど見ておけば問題ありません。

 

等級いかんで賠償額が大きく変わる!

 

後遺障害診断をしてもらうことがいかに重要なのか、ピンと来ない方もいるでしょう。第1級だからなんなんだ、と思う場合もあります。

 

しかし、損害賠償請求のことを考えるのであれば、ぜひともこだわって欲しいのが後遺障害診断なのです。

 

後遺障害の等級によって、損害賠償額が変わるというのはお伝えしましたよね。実際にどのくらい変化があるかを知れば、適当にやっておこうという気持ちはなくなるでしょう。

 

自賠責基準か裁判基準かによっても違いはあるのですが、ここでは自賠責基準で考えてみます。自賠責基準の損害賠償請求額は、法律によって決められた、補償されるべき最低額を指すので、少なくとも自賠責基準以下の金額になることはないからです。

 

適当に、自賠責基準における後遺障害認定の第1級と判断された場合、1100万円が支払われます。3ヶ月分のボーナスとは比べ物にならない金額です。

 

ここから、第2級では958万円、第3級では829万円と下がっていき、丁度等級の真ん中にあたる第7級では409万年。一番低い等級である第14級では32万円、という賠償が行われると規定されています。

 

通常ありえることではないですが、あなたの後遺障害が第1級と認定されるのか、それとも第14級と認定されるのかによって、1068万円も賠償額が違うのです。決して無視できる金額ではありませんし、適当に手続きしてしまって良い金額でもありません。

 

後遺障害認定でどの程度の等級と認められるのかは体の状態によって決まります。とはいえ、後遺障害が一箇所ではなく複数箇所にわたっている場合もありますし、自覚症状などが反映されておらず実際の体の状態より軽い等級に認定されてしまう可能性もありえます。

 

そこで覚えておいて欲しいのが、「後遺障害の申請は被害者請求で行う」ことなのです。

 

等級の申請は被害者請求で

 

後遺障害認定が何級になるのか、は医師が決めることではありません。では保険会社が決めるのかというと、そうでもないのです。

 

実は、損害保険料率算出機構という機関が後遺障害の等級審査を取り仕切っています。

この機構は日本中のあちらこちらに自賠責損害調査事務所を置いており、ここで実際の等級が決められるわけです。

 

ただ、交通事故は日夜を通して起こっているものであり、損害保険料率算出機構は日本に一つしかありません。各事務所もそれほど数はないので、いちいち申請が行われてから書類を用意し、被害者の担当医師のところまで人を送って調査を行う、といったことはしていません。

 

あなたや保険会社から送られてきた各種の書類や医師の後遺障害診断書にもとづいて適切と思われる等級を与えるのです。もし、適切ではない、十分に健康であると判断された場合、全14級ある後遺障害の等級認定はされません。

つまり、後遺障害を受けたことによる慰謝料などは請求できないということです。

 

できれば、きちんとあなたの体の状態のことをわかってもらったうえで適切な認定をしてもらいたいですよね。実は、より適切な認定をしてもらうためには、「被害者請求」というものをしたほうが良いのです。

 

事前認定と被害者請求

 

後遺障害の等級を付けてほしいと損害保険料率算出機構に求める際、方法は2通りあります。

保険会社に全てを任せて結果が届くのを待つ「事前認定」か、必要書類などを全て自分たちで揃えて請求まで行う「被害者請求」かのどちらかです。

 

手間という観点から見ると、ほとんどの作業を保険会社に任せることのできる事前認定のほうが楽なのですが、この場合、等級がより低く見積もられてしまう場合があるので注意が必要です。

 

あなたの後遺障害が何級なのかは、保険会社も実ははっきり良くわかっていません。正確に体の状態を理解しているのは、医師とあなたの2人のみだからです。

 

各種の書類も全て保険会社が用意し提出することになりますから、保険金を支払う側である保険会社としては、等級が低いほうがうまみが多いのです。

あなたにとって有利な証拠書類などが提出されないリスクも考えておかなければなりません。

 

被害者請求の場合、必要書類を集めるところから自分たちで行う必要がありますが、どんな書類を提出するのかも完璧に自分たちでコントロールすることができます。医師の後遺障害診断書を中心に、少しでも実情に則した等級を与えられるように取り計らうことができるのです。

 

パソコンが壊れたときのことを考えてみるとわかりやすいでしょうか。

お金を払って修理に出すか、自分で故障の原因を突き止め、対処するかの違いです。

 

自分で対応すれば、有料のサービスを利用するより安く確実にパソコンを修理することも可能なのです。

 

医師とのコミュニケーションは綿密に

 

後遺障害診断書を書いてもらうために、日頃から担当医師とは綿密にコミュニケーションを取っておきましょう。

 

医師が書く診断書の内容は、あくまで医師自身が確実に理解していることに限られます。大まかに体の状態を書いただけで、自覚症状などを全く含めずに診断書を出される場合もあります。

 

診断書に書いてない症状や後遺症は、損害保険料率算出機構からするとないも同然なので、実際の状態より低い等級になりやすいのです。

医師側も、どんなことを書けば良いのかわからないなんてこともあります。弁護士同伴のうえで、どういった内容が必要なのか相談すると良いでしょう。