死亡逸失利益

By | 2015年7月27日

死亡したことによって失う将来の利益

 

交通事故によって被害者が亡くなった場合、失われるものはたくさんあります。

遺族からしてみれば大切な家族を失ってしまうわけですし、その人を雇っていた会社からすれば貴重な労働力を失ってしまうわけです。

 

交通事故さえなければ失わずに済んだもので、金銭的にあがなうことが可能なものに関しては、損害賠償請求することが可能です。

 

損害賠償請求の費目にはたくさんの種類があり、被害者が亡くなったときは特に金額も大きいです。今回は、交通事故被害者が死亡したことによって失ってしまった将来の利益、「死亡逸失利益」について説明します。

 

死亡逸失利益というのは、言葉こと難しいですが基本的な考え方は簡単な費目です。

例えば、年収500万円の人がいるとしましょう。この人が交通事故によって亡くなってしまった場合、本来1年間で稼ぐはずだった500万円は失われてしまうわけです。彼が亡くなったのが40歳だとすると、定年退職まで少なくとも25年は働けたはず。

ということは、

 

500万円×25年=1億2500万円

 

もの利益を失ってしまった、ということになるわけです。しかし、実際には年収のすべてを貯金できるわけではありませんし、毎月の家賃や食費、交遊費などで出費も行います。

これらの項目を加味したうえで、結局いくらの利益を損失したのかを求めるのが死亡逸失利益の計算なのです。

 

それでは、適切な数字を求めるために必要な各項目の解説に移ります。

 

死亡逸失利益の計算に必要な項目

 

死亡逸失利益の計算では、実際の本人の収入などによって金額が決定されます。他の損害橋用請求金のように、自賠責基準と裁判基準で金額が大きく変わることはありません。

 

そんな死亡逸失利益を計算するためには、最低限以下の用語について理解をしておく必要があります。

 

・基礎年収

 

これはわかりやすいですよね。

交通事故によって亡くなった人が稼いでいた金額です。

 

ただし、基礎年収の算出においてはかなりの例外的な処理があって、亡くなった方の条件次第で簡単には求められない場合もあります。

 

サラリーマンなら前年度の年収を計算すれば良いですが、例えばまだ入社したてでベースの年収も余り高くない若者の年収は、今後上がっていく可能性もあるわけですよね。

 

22歳、23歳のときの年収で、40歳50歳のときの逸失利益を考えてしまうと、かなりの損をしてしまうことになります。ですので、こういった場合には全国の年齢と性別における年収の平均額をまとめた「賃金センサス」と比較して、より高いほうの金額を基礎年収に採用するのです。

 

専業主婦の場合、学生でまだ就職をしていない場合は新卒で卒業したと仮定して賃金センサスを採用することもあります。

 

他にも、現在は無職だった、求職中だった場合も補償が受けられないわけではありません。以前働いていたなど、働く能力があることがわかっている場合、事故さえなければ就職して収入を得ていたことは想像に難くないということで、基礎年収はゼロにはならないのです。

 

また、社内での昇給システムがきっちりと整備されていて、今後確実だった昇給が死亡によってふいになってしまった、という場合もその証明さえできれば基礎年収を調整できます。

 

・生活費の控除(割合)

 

毎月、いくらくらい出費をしているか家計簿をつけている人はいるでしょうか?

例えば、額面25万円の給料で働いている人は、大体年金や保険、住民税で毎月5万円から7万円引かれて、手取りは20万くらいになりますよね。

 

そこから家賃を払い、携帯電話の利用料金を払い、電気ガス水道光熱費などの公共料金を払い、たまには友達と遊びにでかけて、買い物をしてとなにかしら生活のためにお金を使っているはずです。

 

死亡逸失利益では、「生活費として使ってしまう金額は収入から差し引いて考えるべき」だとしているので、大体何割くらい生活費に使っているかを割り出さなくてはなりません。

 

ただし、個別に生活費の割合を考えるのは余りにも木の遠くなるような作業なので、大体の割合は決められています。

 

ひとり暮らしの男性なら50%、一家の大黒柱で扶養家族が1人なら40%、扶養家族が2人いる場合は30%、女性は30%、といった具合です。

 

ただし、この割合もあくまで基準値でしかありません。

年収の多寡や本人の状況などを鑑みて、多少パーセンテージが変動することも十分ありえます。

 

・就労可能年数から割り出したライプニッツ係数

 

後遺症逸失利益などを計算するときも利用するライプニッツ係数ですが、死亡逸失利益を計算するときもこれを使います。

 

交通事故被害によって亡くなった方の年齢から、67歳になるまであと何年あるのかを考え、適切なライプニッツ係数を割り出すのです。

 

将来の○万円の価値を今の○万円の価値に換算するために必要な係数で、多くの場合ライプニッツ係数表を参照すればすぐに数字を見つけられるようになっています。

 

計算式と数字を入れた具体例