修理費用

By | 2015年7月27日

交通事故の物損に対する損害賠償

 

車を走らせていたところ、追突された。バイクで直進中、左折時の確認を怠った車に巻き込まれてしまった。バンパーが潰れた、ドアが凹んだ、塗料がはげた。

 

特に自動車対自動車での交通事故が発生したとき、お互いの車になに一つ損傷がない、というケースは珍しいといって良いでしょう。たとえ徐行程度のスピードでも、かなりの重量物である自動車がぶつかるわけですから、少なからず車は破損してしまうわけです。

 

破損した車をそのまま乗り回すわけにはいきませんよね。故障箇所のある車だと車検も通りませんし、そもそも安全性に難があります。そこで、交通事故で物損が起きた場合、その分の損害を請求することになります。

 

物損に対する損害賠償請求といっても、その内容によって細かく費目はわかれています。

今回は、車両の修理費用という部分に着目して、ぜひ知っておいてほしいことをお伝えしていきます。

 

いわゆる「全損」とは?

 

交通事故に遭った車が「全損」になるのは一体どういう状態を指すのでしょうか? 実は、全損ということばには2通りの意味があります。一つは物理的な全損、もう一つが経済的な全損と呼ばれるものです。

 

結局は同じく全損になっていることに変わりはないのですが、せっかくの機会ですから全損についての知識を深めましょう。

 

・物理的な全損

 

例えば、、そこそこスピードを出していて対向車線の車がこちらの車線にはみ出してきたら、当然派手に正面衝突しますよね。

 

お互いの車が動いているわけですから、あなたの車の前面にはものすごい圧がかかるわけです。スピードが出ていれば出ているほど、正面衝突したときのダメージが大きくなります。

また、車種によっても車の壊れやすさというのは変わってきます。軽くて取り回しの良い軽自動車と、荒れた地面や山で難なく走破することのできる4輪駆動車なら、当然4輪駆動車のほうが頑丈に作られています。安全性をうたっている高級車なども、かなりの耐衝撃性や堅牢性を誇っていますよね。

 

こういった車と衝突すると、車がぐちゃっと潰れてしまうこともあります。後続車から追突されても、運転席と助手席を残してフレームごと潰される、なんて場合もあります。

 

フレームなど、車の基幹部分が破壊されている場合、どうがんばっても修理をすることができません。仮に修理したとしても耐久性に難があります。

 

一発で廃車になってしまう。どう見てもこれ以上動かすことができない。そんな悲惨な状態になってしまった車は、物理的に全損している、と考えます。修理ではどうにもならないので、同程度の価値を持った車との買い替えにかかる諸費用を請求することになります。

 

・経済的な全損

 

物理的な全損は、見た目からしてわかりやすいです。

一方で少し複雑なのが、経済的な全損、という状態です。

 

物品というのは、長く使えば使うほど価値が下がっていきます。どんなにきれいに使っていようと、ピカピカに磨き上げていようと、新車と購入してから10年経過している中古車を比べた場合、中古車のほうは「10年分価値が下がっている」わけです。

 

例えば、10年前に300万円で購入した新車があるとします。大切に乗り続けていますが、この車の価値を計算すると、10年分でおよそ10分の1まで下がっているので、30万円の価値の車である、というふうになります。

 

交通事故の物品の賠償請求では、この「時価」という概念が重要です。

あなたの車が30万円の時価になっているとすると、例えばフレームなど致命的な部分は傷ついておらず、工場に持ち込んで修理すればなんとかなるとしても、修理費用の総額あ30万円を越えた時点で、経済的な全損になってしまうからです。

 

金銭による賠償を推奨する法律的な考えから行くと、30万円の物品を、40万円かけて修理するのは合理的とはいえません。

30万円の価値があるものを失ったのであれば、同じく30万円くらいの価値のある同じような機能を持つものを代わりに購入するだけの賠償をすれば良いわけです。

 

経済的全損と判断されてしまい、修理費用を全額支払うことはできないといわれた! 納得できない! とトラブルになる方がとても多いのです。

 

対物保険の落とし穴

 

自動車に乗っている以上、リスクはつきまといます。なので基本的にほとんどの方は任意保険に加入していますよね。

 

交通事故後の損害賠償請求を行う交渉相手は、ほとんど事故の相手が入っている保険会社か、自分が入っている保険会社となります。

 

ここで注意したいのが、対物保険に加入していればどんなケースでも全額修理費用や買い替えにかかる車両の取得税などを支払ってもらえるわけではない、ということです。

 

対物保険にも様々な特約があって、相手が経済的全損で修理費と時価に差がある場合、プラスアルファで補償を行う特約に入っていなければ、保険の規程以上の賠償を求めることができないのです。

 

ものすごく思い入れのある車や、大切な車に乗っている場合は、こういった手厚い対物保険の特約に自分で加入しておいたほうが良いでしょう。

 

過失ゼロのときは交渉が大変

 

交通事故では、過失割合というものと求めます。事故の原因がどちらにどれくらいあったのか、その割合によってお互いの修理費用などを負担するわけです。

 

交通事故の被害者として最もありがたいのは、あなたの過失がゼロ、相手の過失が100%という状態です。しかし、過失ゼロのときにも注意点があります。

 

基本的に、過失がゼロのとき、あなたが加入している保険会社の人は損害賠償などの交渉に一切絡んできません。自分たちの会社が保険金を支払うことがないからです。ですから、事故被害に遭ったあなたが相手側の保険会社と交渉していかなければならないのです。

 

相手は交渉事のプロですから、あれこれと主張を展開してできるだけ支払う損害賠償金を減らそうとしてきます。納得のいかないまま示談書に判をつくところまで持っていかれてしまうことも多いので、物損事故でも最初から弁護士を入れておくのが一番です。

 

物損事故では損をすることが多い

 

物損の事故では、被害に遭ったほうが損をすることが多いです。大切な車の修理費用がかかってしまうこと、その間は車に乗れないこと、廃車の手続きや別の車を購入する手続きなどが必要なことなど。

 

そのうえ、経済的全損になった場合修理費がかなり低くなるといった場合もあり、心理的にも時間的にも大きく損をしてしまいます。

 

けががごく軽症だからと物損事故の届け出をしていると、けがの治療にかかる費用も請求することはできません。事故に遭った相手からなにをいわれようと、事故でけがをした場合はきちんと人身事故として警察に届けておいたほうが、損害賠償請求はやりやすくなります。

 

物損だけの請求では、裁判をしても勝てないこともあります。適切な賠償請求のために、できることを探しましょう。