休車損害

By | 2015年7月27日

会社の車を使えない期間は休車損害を請求できる

 

いわゆる営業車、社用車、という車があります。個人の所有物というわけではなく、会社や事業主が所有者として登録をしていて、従業員はその車両を借りて仕事をしている、というタイプの車です。

 

もし、こういった営業車、会社の車が交通事故に巻き込まれて修理が必要になってしまったり、買い替えなければならないほど破損してしまったりした場合、会社は仕事が滞るのでとても困ることになりますよね。

 

本来、交通事故もなにもなければ、問題なく会社の車を稼働させて利益を得ていたわけです。

タクシーなら毎日の運賃という利益を得ていたでしょうし、バスならある程度まとまった利用料を取っていますよね。配送会社のトラックなどは、一度に積載することのできる荷物の量によって、またどのくらいの距離移動するのかによって利益は変動しています。

 

修理を待っている間、見積もりを取っている間、新しい営業車が納車されるまでの間、失ってしまった利益を損失と考えて、損害賠償請求することができます。

 

これが、「休車損害」という車両損害です。

 

誤解を招いてしまうかもしれませんが、休車損害の取り扱いは、車輌関係の損害賠償請求のなかでも最も複雑かつ大変なものだといっても過言ではありません。

どうして他の請求費目に比べて複雑なのか、休車損害の金額はどうやって計算すれば良いのかなど、休車損害について知っておきたいポイントをそれぞれ解説していきます。

 

予備の車両がある場合は別

 

休車損害の請求において、一番最初に知っておいてほしいのは、休車損害を請求することができないケースです。

 

休車損害という内容で損害賠償請求をしても、100%請求が認められないケース。それは、「会社に予備の車両があり、故障した車の損失を穴埋めできる場合」です。

 

正式には遊休車と呼ぶのですが、例えばタクシー会社が保有しているタクシーが交通事故に巻き込まれてしまい、修理が必要になったとします。このとき、当然修理が終わるまではタクシーを動かすことができませんから、タクシー一台分の利益は損失していることになりますよね。

 

しかし、もし会社に誰も使っていない予備のタクシーが一台あったら、どうでしょうか。確かに破損した車は修理が終わるまで動かすことはできませんが、タクシーの運転手は代車を使っていつもと同じようにお客さんを乗せ、運賃を取って利益をあげられますよね。

 

タクシー会社なら予備のタクシー、バスなら予備の車両、トラックなら誰も使っていない空いたトラックがあれば、業務を遂行することができるので、休車による損害は発生していいない、ということになるのです。

 

もちろん車の修理費用などは別項目で請求できますので、手間はかかりますが大きく会社側が損をするわけではありません。

 

ただ、代車があれば休車損害を請求できないのであれば、「代車をあえて使わずに請求しよう!」と思う方もいるでしょう。

 

残念ながら、代車、遊休車があるにも関わらず使用しなかった場合でも、休車損害を請求することはできません。利用できるものをあえて利用しなかったのは会社側の一方的な思惑に過ぎず、適切な手段を取らない合理的な理由がないからです。

 

休車損害額の計算の仕方

 

休車損害は、一体いくらぐらい請求すれば良いのでしょうか? 計算方法を知っていないと、いくらぐらい請求できるのかという目処も立ちませんよね。

 

基本的に、休車損害は「交通事故がなかったら得ていた利益から、どれくらい損をしているか」を求めます。

例えば、あるタクシーは毎日2万円を稼いでいたとしましょう。修理によって1日このタクシーが使えなかった場合、2万円を売り上げることは不可能ですよね。この場合、休車損害は1日あたり2万円となるわけです。

 

大まかにこういった考えで計算をするわけですが、実際にはもう少し細かい計算が入ります。

 

まず求めるのは、営業車が1日あたりに稼ぐのはいくらなのか、です。一日あたり平均していくら稼ぐのかを求めるためには、大体事故の前3ヶ月くらいの日数で平均を取ればわかります。

 

ただ、繁盛期や閑散期などもあることを考えて、1年間分の利益から1日あたりの利益を求めたほうがより確実な値が出せるでしょう。

 

・事故前3ヶ月の売上総額÷3ヶ月=1日あたりの売上

 

となるわけです。

ここから、さらに「1日あたりの変動費」を差し引きします。変動費とは、車を動かした場合にかかる経費のことです。車を動かせない場合は発生しない経費なので、休車損害からはこれを引いて考えます。

 

具体的には、1日あたりのガソリン代や人件費です。1日あたりの売上から1日辺りの変動費を差し引きすると、営業車が1日で得る「純利益」がわかります。

 

あとは、純利益に、休車期間をかければ休車損害の総額が出ます。

 

・1日あたりの売上-1日あたりの変動費×休車日数=休車損害金額

 

立証責任はあなたにある!

 

休車損害の請求が難しい点は、これらの計算を、きちんとしたデータや証拠を元に行って保険会社なり裁判所なりに提出しなければならない、というところにあります。

 

黙っていても保険会社が勝手に計算をしてくれる、ということはありません。

 

一定期間の売上データ。ガソリン代に人件費。遊休車がなく実際に休車被害が出ているという会社の情報。休車期間が何日かかるかという見積もりの日数など、全て証拠を集めなければなりません。

 

適当に、大体1日にこれぐらい稼ぐだろう、というデータでは確実に請求を拒否されてしまいます。

 

休車損害の請求はかなり複雑なので要注意

 

休車損害の請求は、立証責任が被害者側にあり、しかも計算や条件が複雑になっているので、請求を行うさいは慎重に準備を進める必要があります。

 

場合によっては、請求が100%認められるケースもあれば、半分くらいしか認められないケースもあります。

考え始めるとややこしくなってしまうこともあるので、どうしても面倒な場合は、弁護士に頼ってどんな書類が必要なのか、計算結果はどうなるか、といったことを代行してもらったほうが良いです。

 

特に、「遊休車はないが、手持ちの営業車にがんばってもらっていつも通りの売上をあげた」という場合は要注意です。

 

こういったケースでも請求は可能です。

しかし、例えば正社員で運転手が毎月20万円をもらっていた場合、休車期間が1ヶ月だから車に乗れないのに20万円の給料という損害が出ている、とはいきません。

大抵の場合、運転できない間、営業車の運転手は内勤をしたり、他の仕事をしたりします。なんらかの仕事をしている以上、20万円すべて損害とはいえません。

 

「この費用はかかるが、別の費用は浮き、トータルで考えるとほとんど損をしていない」なんてことが多いのです。

 

休業損害の請求をできるかどうか、請求するならいくらくらいになるか、事前に調べてから請求するのがおすすめです。