交通事故における自転車利用者の責任

By | 2015年7月27日

事故の責任はどうなる?

 

自転車に乗っているときに、人にぶつかってしまった! 左折する車に巻き込まれてしまった! 場合、起こった交通事故に対してあなたも相応の責任を負わなければならないということをご存知でしたか?

 

自動車で交通事故を起こした場合、「過失割合」というものを考えますよね。事故の原因はどちらにより多くあるのか、比率を出すことで、一方だけに事故の負担をさせないようにするわけです。

 

自転車も軽車両であり、車の一部なので、過失割合をきちんと考えます。そのうえで、自分の過失に見合った責任を取ることになります。

 

今回は、自転車で交通事故を起こした場合、自転車に乗っていた人はどういった責任を負うのかを説明していきます。

 

「自転車だから悪くない」は通用しない

 

一番に知っておいていただきたいのは、たとえあなたが自転車に乗っていて、車にぶつかられてけがをした被害者だとしても、「自転車だから一切自分は悪くない」という意見は通らないということです。

 

自転車は軽車両です。一切あなたに非がない事故というのは、ごく一握りのケースに過ぎません。交通法規をすべて守って、信号停止中に追突されたといった場合は自動車側の過失が100になりますが、実際には出会い頭の事故や注意不足から事故が起きますから、少なからず責任を追求されてしまいます。

 

受ける処分は3種類

 

交通事故が起きたとき、事故を起こした人はそれぞれの責任において処分を受けます。

自転車に乗っているあなたが負うべき責任、処分は、

 

・刑事処分

・行政処分

・民事処分

 

以上の3種類です。

それでは、各処分がどういったものなのか、見ていきましょう。

 

・刑事処分

 

いわゆる刑事罰のことです。

他人のものを盗んだら窃盗の罪に問われるように、道路交通法を違反している場合、それなりの刑事処分がくだされることになります。例えば、飲酒して自転車を運転した場合、それだけで5年以下の懲役か、100万円以下の罰金となります。

 

事故が起きれば必ずすべてが刑事処分の対象になるわけではありませんが、多くの場合、自転車側もなんらかの形で道路交通法違反をしているケースが多いです。

 

詳しくは、事故後に呼んだ警察などが調査を行います。

事故を起こした関係者から話を聞き、自転車や車の損傷、目撃証言などを加味してどのような事故が起きてしまったのかを調べるわけです。

 

事故の状況に応じて、一時停止をしていなかった、スピードを出しすぎていた、危険な運転をしていた、といった場合、自転車側も当然処分を受けます。

 

仮に事故に遭った相手が亡くなってしまった場合、「重過失致死傷罪」などの罪に問われることになります。この場合の刑事処分は、5年以下の懲役か、もしくは100万円以下の罰金刑です。

 

もちろん相手側にも過失があればそれが考慮されますが、歩行者相手の人身事故ではあなたの注意不足が指摘される可能性は高く、よほどのことでない限り刑事処分に処されると考えておいたほうが良いです。

 

・行政処分

 

自動車を公道で運転するためには、運転免許を取得しなければなりませんよね。

免許を持っていることで、交通ルールをや交通法規をきちんと把握していることが証明できるわけです。

 

なので、なんらかの違反をしたり、人身事故で相手を傷つけてしまったりした場合、免許の点数を引かされたり、免停になったり、免許の取り上げになったりします。

刑事処分が警察や検察からの処分であるように、行政の責任において免許という形での処分が行われるということですね。

 

とはいえ、自転車には自動車のように免許制度が採用されていません。免許がないのに点数を引くことなどできないわけです。

 

ただ、自転車も軽車両なので自動車と同じように道路交通法や交通ルールを遵守する必要があります。

ということは、免許の必要ない自転車で不用意に交通事故を起こす人は、免許の必要な自動車を運転させても同じように交通ルールを守れない可能性が高い、とも考えることができますよね。

 

件数は決して多くはないのですが、自転車事故によって相手をけがさせた場合、悪質だと判断されたならば、所持している自動車の運転免許に対して免停などの処分が行われることもあります。

 

こじつけなどではなく、道路交通法の第103条を根拠に行われる行政処分です。

 

・民事処分

 

刑事処分、行政処分ときて、最後に紹介するのが民事処分です。

あなたが道路交通法を破ったことに対しては、刑事処分と行政処分がくだされます。加えて、実際にけがをした相手に対しての責任も果たさなければなりません。

 

当事者同士の賠償などは民事の紛争で決めることになっていて、示談や裁判といったやりとりをして、最終的な処分の内容を決定します。そして、民事における処分とは、基本的に加害者が被害者に金銭を支払うことを指します。

 

もし自転車事故で相手をけがさせてしまった場合、あなたが負うべき民事の責任は非常に重いものとなります。相手のけがの治療費はもちろん、なにか壊れたものがあれば時価程度の賠償をしなければなりません。

 

けがのせいで仕事を休めばその補償も請求されますし、後遺症が残った場合は、後遺症の度合いによって大きな金額での賠償責任を負います。

 

あなたが相手から受ける損害賠償請求では、公平な請求ができるように請求できる内容がある程度決まっています。しかし、あなたと相手が納得すれば、示談金は1円でも1億円でも良いのです。

 

相手が受けた損害によって、請求額は跳ね上がります。

相手の健康や生活に密接した問題だけに、3種類の処分のなかではもっとも大変な責任を負うことになります。

 

責任能力のない子供が起こした事件の責任は、親が負う

 

平成25年の7月4日、神戸地方裁判所でとある判決がくだされました。

小学校5年生の子供が坂道を勢い良く自転車で駆けおりていたところ、女性をはねてしまい、意識不明の重体という重いけがをさせてしまったことに対し、子供の親に1億5000万円の請求が行われた、という事件の判決です。

 

結果として、子供の親には総額でおよそ9500万円の支払い命令がくだされています。

 

他にも、無灯火で自転車を運転していた女子高校生が女性をはね、後遺障害を伴う重症を負わせて仕事を退職せざるを得なくなった、というケースではおよそ5000万円の賠償命令が出されています。

 

このように、事故を起こした本人に賠償能力や責任能力がないと判断される場合、事故の責任は保護者が負う必要があります。

刑事処分や行政処分に関しては本人でないだけに軽いものとなりますが、民事処分、民事責任に関しては、なんら変わりません。

 

なお、自転車側の過失が重い場合や故意によって起きた事故の場合、損賠賠償請求された支払いは自己破産をしても免除されることはありません。

あなた本人だけでなく、身の回りの人にも交通法規の大切さを伝えて、事故を未然に防ぎましょう。