むち打ちの種類

By | 2015年7月27日

むち打ちには大まかに4つのタイプがある

 

むち打ち、と一口にいうのは簡単ですが、実際にはむち打ちにもさまざまな症状の形態があり、原因やけがの状態によって様々なグループに分けられています。

 

足首をちょっと捻ったときのように、まあ放置しておけば治るだろう、なんて高をくくっていると、思わぬ後遺障害や症状に長期間悩んでしまうことも考えられます。

 

むち打ちの症状の多くは自己申告に頼る部分が大きいです。だからこそ、むち打ちにどんな種類があって、どんな症状があるのか、前もって予習しておきましょう。

 

けがをして、治療費を請求するのは簡単です。少しでも痛みを長引かせないように、重い後遺障害を残さないように、「あれ?」と思ったとき迷わず適切な治療を受けられるようにしていきましょう。

 

今回は、むち打ちを代表する4つのタイプをそれぞれ紹介していきます。

 

頚椎捻挫型

 

一般的に「むち打ち」と呼ばれるけがを、より医学的な言葉で説明すると頚椎が捻挫している、ということになります。

 

捻挫とは、無理な動きや大きな負荷がかかったことによって、筋膜や筋肉そのもの、腱などが傷ついている状態を指します。大きなけがになることは余りなく、あくまで軽く組織が傷ついている状態です。

 

なので、骨が折れているだとか、関節が思い切り曲がってはいけない方向に曲がってしまって戻らないとか、そういったときには後遺症を伴うけがに発展する可能性は低いです。

 

ただ、たかだか捻挫とはいっても、けがをしている場所が首であるというのが問題です。首には太い血管と頚椎、つまり髄液や神経系などの重要なものがたくさん詰まっています。多少のけがであっても大きな影響が出やすいのが問題です。

 

・頚椎捻挫型の治療

 

むち打ちの治療でやっかいなのが、「安静にするのが難しい」ということではないでしょうか。

首は、横になっているとき以外ずっと重たい頭部を支え続けています。

痛みを感じると反射的に体がこわばってしまうので肩こりなども起きやすいですし、なにげなく横を向いたり、振り返ったり、寝返りを打ったりすることで痛んでしまうので繰り返し痛みやすいです。

 

ですから、基本的には「首を動かせないように固定する」のが治療の基本となります。

ギプスやカラーなどの固定具を使って首が動かないようにしていれば、不意の動きでさらに首を痛めてしまう心配はありません。

 

同時に、傷ついた患部は炎症を起こしているため、炎症を抑える薬や鎮痛剤、または湿布などを利用して時間をかけて治療していくことになります。

 

また、場合によっては患部を温めて血流を良くすることで回復を促したり、痛みが強い場合は痛み止めを打って対処することもあります。

 

神経根症型

 

いわゆる、頚椎のヘルニアです。

神経というのは体中に張り巡らされているのですが、とくに頭部から胴体へとつながる頚椎、脊椎に大きな神経の集団が集まっています。

 

背骨と背骨が柔らかい組織(椎間板)で繋がれていて、背骨のなかには太い脊髄が通っています。

そこから各種の神経信号を出したり受け取ったりするために、一部骨のなかから外へ出ている神経があるのです。これを神経根といいます。

 

この細かな神経も当然敏感ですから、ちょっと圧迫されたり、出入口になっているところが狭まったりすると途端に強い痛みを感じてしまいます。

 

交通事故の衝撃によって頚椎が少しずれたり、神経の一部が圧迫されている場合、神経根症型、なんていうふうに呼ばれるむち打ちとなります。

 

神経は体を動かすために不可欠な経路ですから、むち打ちとはいっても強い痛みや不快感、または麻痺を感じることも多いので、症状は重い場合が多いです。

 

ただ、脊髄そのものが損傷している場合と比べると、症状も軽く治療によってちゃんと回復するので安心できるタイプです。

 

・神経根症型の治療

 

基本的には、安静にすること、首を動かさないことは頚椎捻挫型と共通です。あくまで一時的に炎症を起こして組織の形が変わったり、圧迫されているだけなら、時間経過で元通り神経が圧迫されていない状態に戻るからです。

 

ただし、骨の形が変わってしまっていて常に神経が圧迫されている、などの場合は手術も視野に入れる必要があります。

 

バレー・ルー症候群型

 

なんだか聞き馴染みのない言葉だと思います。

バレリュー症候群、バレー・リューー症候群といわれる場合もありますが、バレー・ルー症候群というのは、交通事故の衝撃によって自律神経のバランスが崩れてしまっている状態を指します。

 

人間の体には、興奮や活性を司る交感神経と、鎮静やリラックスを司る副交換神経というものがあります。

スポーツの中継を見て白熱しているとき、ドキドキしているときは交感神経が活発になり、ゆっくりお風呂に浸かったり、自室でリラックスしているときは副交感神経が活発になっているわけです。

 

正常な状態では、交感神経と副交感神経はバランスよく交互に活発化し、日常のリズムを作り上げています。

しかし、事故のショックによって自律神経が傷つき、バランスが崩れてしまうと、動悸が収まらなかったり、寝つけなくなったり、生活のさまざまな部分で問題が出てくるのです。

 

首の痛みとともに、耳が聞こえづらくなったり、だるくてたまらなかったり、耳鳴りやめまいなど、複合的な症状に悩まされることになります。

 

バレー・ルー症候群型の治療

 

基本的には、首を固定したり安静にするのが治療法となります。傷ついた自立神経が元に戻るまでじっくり待つわけです。しかし、症状がひどい場合は自律神経の働きを鈍らせる注射を行って、交感神経や副交感神経が過敏に働かないようにすることもあります。

 

麻酔を打つと痛みに鈍くなる、というような対処法です。どちらにせよ

 

脊髄損傷型

 

交通事故の衝撃は、とても大きいですよね。

時速何十キロというスピードで車にはねられてしまったら、人間の体なんて10メートル以上ふっとんでしまいます。そんな大きな衝撃を受けた結果、頭が大きくゆさぶられ、脊髄が損傷してしまうケースがあります。

 

頚椎だけでなく脊髄が損傷してしてしまうと、どうなるのでしょうか? 激しい痛みももちろんありますが、もっと悪いのは手足の麻痺が起きてしまうことです。

脊髄は神経が集合したものですから、仮にここが傷ついてしまうと、脳から送られた電気信号がうまく手足に伝わらず、結果的に麻痺してしまうわけです。

 

ただ、脊髄の損傷までいくとむち打ちとは比較にならないくらい重い状態ですから、被害も治療も甚大なものとなってしまいます。

 

・脊髄損傷型の治療

 

脊髄の損傷の程度や、脊髄のどの部分を損傷したのかによって違いはありますが、脊髄が傷ついた場合完全な治療を行うのは難しいです。これ以上麻痺をすすめないために脊髄を固定し、間違った治療をしない、ということが重要です。

 

むち打ちと診断されても、麻痺がある場合は必ず精密検査を受けましょう。